それでは最初に、施設利用の利便性向上についてです。
先ごろ平成20年2月から、板橋区の施設利用について、システムの改変が行なわれました。施設利用管理システムのホームページも新しくなり、空き状況の確認画面が多少見やすくなったり、ネットでの抽選申込みと当選案内など、コストや手間の削減が進んだことはよろしいかと思います。
しかし、以前から指摘されている、縦割り行政の弊害はいまだに解決されていません。文化会館と、地域センター、スポーツ振興課のそれぞれが管轄する施設は、別々の申込みになったままです。
さらに、今まで黄色いカードを所持して登録していた団体が、新しい青いカードに強制的に切り替えをしなければなりませんでした。その際、新しいカードでは、各所管で一度ずつ登録をし直さなければなりません。例えば、スポーツ団体として登録していたけれども会議のために地域センターや文化会館も利用していたという団体であれば、カード改変の際に、スポーツ振興課でカードを発行してもらい、地域センターと文化会館でまた同じ申し込み書面を提出してカードに裏書きを追加しなければなりません。つまり3回、別々の窓口で同じ書面を出すという手続きが必要となりました。利用者の皆さんにはたいへんなご面倒をおかけしたことになります。
今年3月の予算委員会企画総務分科会でもこの問題を指摘しましたが答弁としては、「直せるところは来年度の修正で直すこともありますし、また、運用面で改善できることがあれば改善していきたい」ということでした。
しかしまだ改善について聞き及んでいないところであります。
そこで、1つの窓口で1つの書式で申し込むことで、希望するいくつかの施設利用の登録ができるよう、審査・申込み手続きについて改善していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
また、文化会館、地域センター、体育施設という垣根を取っ払って、一元化した予約システムを構築していただきたいということも過去に述べてあります。施設の性質が異なるため用件を満たしているかの確認が困難とも言われておりますが、現実にはほぼ同じ審査しかしていませんし、登録の時に審査をきちっとやっておけば一元管理も可能かと思いますがいかがでしょうか。
つづいて、予約の方法についてです。
会場の事前予約については、施設ごとにそれぞれ時期が違っています。
体育施設は前々月の下旬に抽選の申込み。地域センターは2ヶ月前の1日に会場にて抽選会。文化会館の大ホールとアクトホールは1年前、などとなっています。
公的な行事の場合、体育施設は1年以上前から調整をしますが、文化会館では、館内清掃や工事と成人式・区民祭りだけは優先し、その他は公的行事であっても他団体と一緒に抽選している状況です。
それぞれ長年の経験の中で一番良い方法をとってきたということは理解できます。しかし、ニーズに合わせた見直しをしても良いのかと思います。
例えば文化会館では、大ホールは1年前に予約できますが、小ホールや大会議室などは6ヶ月前からの予約となっています。しかし、オペラやミュージカルなどの演目は、準備に1年かかるといわれています。中小規模の団体にとっては大ホールでは広すぎます。しかし小ホールは6ヶ月しか準備できない。そうなると結局は池袋の芸術劇場へと離れてしまいます。文化活動が区外へ流出してしまっているのです。
そこで、文化振興財団との共催や後援などを得た事業であるならば、小ホール・大会議室・グリーンホールなどは1年前から会場予約ができるようにするとか、体育施設と同様に公的事業として事前に調整するなど、他区の文化施設の運営なども参考にして改善が必要かと思いますがいかがでしょうか。
次に、子育て支援の充実についてです。
先日、我が家にも第一子が誕生し、健康福祉センターでの事業などを実際に経験してきましたので、質問いたします。
まずは母親学級、両親学級についてです。
母親学級は、現在主に平日の日中に開催されています。母親としての知識を得ることと、意識向上に寄与するとともに、近隣に住む同時期に出産する母親同士が仲良くなり相談相手を見つけるができる、たいへん有意義な事業だと思います。しかし、働きながら妊婦期間を過ごす女性はこの事業にはなかなか参加できません。働く妊婦はただでさえ家庭と仕事の両立で忙しく、近所の友人を見つけらづらい環境がありますから、交友を広めるためにも多くの参加を促すべきかと思います。
そこで、母親学級の土日開催を増やして、共働き家庭向けのプログラムの設置も必要かと思いますがいかがでしょうか。
加えて両親学級であります。妊娠7ヶ月以降の妊婦と夫を対象として開催される事業でありますが、毎月1回、区内のいずれかの健康福祉センターが実施するだけです。つまり、5つの健康福祉センターで開催するので、各地域では半年に1回程度しか開催されません。そのため、応募しても抽選となり、断られることがあったり、急遽大きな会場に変更するなどして現場ではたいへんな苦労をされております。さらに、プレママ・プレパパコースにおいては、年間に5回しか開催されておらず、出産予定日によっては申込みすらできません。
両親学級とプレママ・プレパパコース合わせて、基本的には土日の開催とし、各健康福祉センターにおいて、毎月もしくは2ヶ月に1回程度は開催していただくことを望みますが、いかがでしょうか。
また、ネグレクトや児童虐待などの問題を引き起こす親は、こうした教室に参加もせず、育児を語る仲間もいないという場合がほとんどです。逆に、様々な公共サービスを受けたり、相談できる友人がいることによって解消される場合もあります。産後のこんにちは赤ちゃん事業も大切な事業ではありますが、加えて、妊婦の期間から母親学級や両親学級のような場に引き込むことが重要だろうと考えます。
そこで例えば、産院と連携して妊婦情報の収集や区の事業の情報提供を行なったり、母親学級や両親学級を受講した人には出生祝いの助成やすくすくカードの追加サービスが受けられるなどの何らかのメリットを設けて、多くの親に受講してもらうようなしつらえを考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
つづいて、子育てサービスの拡大についてです。
育児にお金と時間がかかるということから、現在の少子化が進んできたと言われています。
女性の社会進出への意欲の向上もありますが、それ以上に、子どもにお金がかかるから働かざるを得ないというご家庭もかなり多くあります。
実際に、子どもが産まれると様々な道具や服、ミルクなどの食品、オシメやコットンなどの消耗品の費用がかかります。特に、チャイルドシートやベビーカー、ベッドなど、使用期間がある程度限定されているにもかかわらず、ほとんどの世帯に必要で、かつ高価なグッズがたくさん必要になってきます。
そこで、児童館や健康福祉センターにおいて、使い終えた子育てグッズの仲介掲示板を設置し恒常的に売ります・買います・譲りますといったニーズの橋渡しをしたり、バザーなどの開催を企画してはいかがでしょうか。
また、共働き世帯の負担軽減のため、学童保育について時間の延長をして、今よりも遅い時間まで子ども達の面倒を見ることはできないでしょうか。学童保育と放課後子どもプランとの住み分けを検討されている中、学童の存在意義はここにあると思いますがいかがでしょうか。
この項の最後に、少子化対策として第三子以降の子どもへのサービス向上です。現在は同時に3人兄弟が保育園に通っている場合には第二子以降は保育料の減免がされております。しかし、全国的にいくつかの市町村において、第一子、第二子の年齢に関係なく、第三子以降の子どもについては全て無料などの施策を実施しています。
板橋区においても、第三子以降であれば、制限を付さずに保育料や幼稚園の月謝などの減免を実施したり、あるいは児童手当の所得制限を取り払うなど、多子世帯への何らかの配慮をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
次に教育の改善についてです。
まずは、昨年度から新たに始まった特別支援教育についてです。これによって、一般の教諭も軽度の障害を持つ子どもをケアするということになりました。板橋区では、初年度については、かなり丁寧な対応をしていたと聞き及んでおります。特に、巡回指導講師がきちんと子どものケアをしていたことにより、教員への負担がそれほど重くならずに済んだといわれております。しかし、今年度からは巡回指導講師は、教員を指導するだけにとどまっており、直接子どもを見ることが少なくなりました。これは、子どもや保護者から見れば、まさにサービスの低下であり、教員から見れば負担増であります。
指導員の配置や仕事内容を見直し、現場に丁寧な対応ができるよう、改善を求めます。
それにあたり増員が必要であれば、国や都へ制度の改善と増員の要望をあげるべきだと考えます。その上で、国や都が動かないとすれば、補助対象事業を活用したり、区独自で指導講師の増員をはかるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
つづいて、学校と地域との連携についてです。
モンスターペアレンツに代表される理不尽・身勝手な親が増え、昔と比べると就学前のしつけができていない家庭も増えました。学校では親への配慮など、指導に対する制約が多く、教員が子ども達に対して厳しく注意することが困難になっております。その結果、いじめをしたり、非行をする子どもが増え、教員のモチベーションはさらに下がるという、まさに悪循環が生まれています。生徒・児童が社会性公共性を学ぶ環境がひじょうに悪化しております。
以前から言われておりますが、全てを学校でこなすことが困難なのであれば、保護者・地域と学校との関係を良好に緊密にしていくことが必要であります。
そのために、3月の代表質問にでは、宮崎市において実施している読書活動アシスタントを紹介し、保護者の中から図書館アシスタントを時給制で雇用することで、保護者と学校の距離を縮める提案をいたしました。
また、地域との関係強化では、放課後プランの充実をはかり、学校の中に地域の人が入って子どもと触れあう機会を作ることが必要であります。江戸川区のように、プロパーの職員を1名置いて、残りはボランティアや低額なアルバイトを地域にお願いする。こうした取組みがなければ、放課後プランは発展できません。
部活動にしても、少子化で生徒数が減れば割り当てられる教員数も減りますから、顧問をできる部活の数も減少する一方です。学校としては道具があっても指導できない部活動がたくさんあります。しかし、外部指導員を雇いたくても予算は無い。人材のあても無い。できれば、退職した教職員や地域の専門家の人材バンクを設け、放課後の数時間だけ低額な時給でお手伝いをいただくような予算や制度を作り、地域連携を進めていくべきではないでしょうか。
親や教員とは違う立場の大人と接することで、子どもたちの社会性や公共性が育つと思います。こうした提案を踏まえ、今後、保護者・地域との関係の強化について、区と学校はどのように取り組んでいくのでしょうか、お答えください。
つづいて、学校選択制についてです。
学校の耐震補強の前倒しと合わせて、改築や大規模改修についても順次進められております。このことについては評価するとともに、いつ発生するか分からない震災ですので、さらに早急な対応をお願いいたします。
今、この改築や大規模改修によって、学校を選択する基準が変わってきています。つまり、「あの学校は改築したから、しばらく廃校にはならない。」「隣の学校が大規模改修したから、こちらはいつか統廃合の対象となる。」このような憶測が飛び交っています。
これは、統廃合の基準として、各学年単学級・生徒児童数150人以下というものがあることと、悪い噂の学校が学校選択制によって敬遠されるという弊害であると思います。
そもそも学校選択制は、各学校が特徴を持つことで切磋琢磨し、子ども達は自分に合った学校を選び、学び、過ごすことができるというのが目的だったはずであります。しかし現状では、予算も無く、人事権も無く、教育指導要領の枠からはみ出さずに、学校の特徴を出せという難題を各学校に突きつけているわけであります。
逆に、先に述べたように、改築・改修の予算を取れたところは、自動的に「校舎が新しい」という特徴を得て、何もしなくても子どもが集まるという現象がおきています。
そこで、一つ目に、今後の学校の統廃合について、今の基準をそのまま運用するのでしょうか。豊島区では、計画的に統廃合を行ったことでそれ以上は廃校を出さないという強い意志を感じます。板橋区では今後も場当たり的な統廃合を繰り返すつもりなのかお答えください。
二つ目に、特徴づくりの問題です。
ある学校では、始業式・終業式以外は、基本的に全て給食を食べさせて、午後も授業や補修を行ない、学力の向上を図りたいと考えているようです。しかし保護者や教員が納得しても、予算や規則で許されないということがあると聞きます。
他にも、中庭に池や芝生を設けてエコロジーな憩いの空間を作りたいとしても、学校の看板をキレイに作り変えたいとしても、心のケアの相談回数を増やしたいとしても、先ほどの部活動の外部指導員にしても、何か特徴を作ろうとすれば予算がかかります。
そこで各学校に一度改めて特徴作りについて考えさせることが必要なのではないでしょうか。その中で優秀な特徴作りプログラムを持っている学校にはきちんと予算措置を行い、学校選択制の目的である特徴を出すということが機能する仕組みづくりが必要だと思います。特に、大規模改修や改築が予定されていない学校にとっては、特徴作りは死活問題でありますので、ぜひサポートをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、行政改革についてです。
経営刷新計画が発行され、板橋区でもかなり行政改革を進めて参りました。その結果、収支の状況は改善されて参りましたが、サービス低下や区民の負担増を招いたことも多々ございました。やはり行革の本質は、行政側の努力を徹底し自ら身を削ることと、区民との協働を進めるということではないでしょうか。
まずは残業代の削減についてです。残業時間はIT推進課などが多く、部署によって偏在しております。また、税金関係や戸籍関係など時期によって発生するものも多くあります。こうした傾向はずっと以前から続いており、対策が求められております。
そこで、団塊世代や高齢者の雇用促進を踏まえ、臨時や非常勤職員の活用を拡大してはいかがでしょうか。また、特に専門性の高い分野は、専門家の中途採用を拡大したり、いっそ思い切って部署ごと全て外注することも視野に入れて組織を見直すことも考えられますがいかがでしょうか。
つづいて、指定管理者制度についてです。今月、視察に行ってまいりました陸前高田市では、産直販売店の運営について、地域の主婦が中心となった組合を指定管理者として活用しています。イベントや行事についても、ほとんど予算無しで、地域の人が企画運営を行なっています。
板橋区でも指定管理者の活用を進め、一定の成果と安定した運営ができていると思いますが、さらに一歩進めていくために以下質問いたします。
指定管理者への委託費について、いまだにその人件費などの内訳について明らかにされていません。派遣社員や契約社員など、労働力のダンピングを行なっている、もしくは労働者を酷使しているという事業者が全国的にも問題になっていますが、板橋区の指定管理者ではそういうことが無いように、人件費を中心とした委託費の内訳について開示させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
また指定管理者に対し、協働の観点を持って地域に密着した運営を進めてもらうために、臨時職員などは地域から主婦層や団塊世代を雇用するなどの、一定の要件を付すことはできないでしょうか。これによって、働き盛りの職員の賃金をダンピングすることなく、ボランティアと仕事を兼ねた地域の協働パートナーを増やすようにリードしていくことができ、公共としての役割を果たすことになるのではないでしょうか。
さらに、文化会館をはじめとしたいくつかの施設について、今後、指定管理者制度の導入を検討すると言われて参りましたが、今後の方向性についてお答えください。
最後に、建築紛争を未然に防ぐ対策についてです。
現在、板橋区においては、様々な建築紛争が発生しておりますが、基本的には民間対民間の問題であり、利害関係も発生するため、ほとんど行政としての対応をすることができないでいます。
しかし、その前に紛争が起きないルール作りというものが必要なのではないでしょうか。
三鷹市では、建築物の制限に関する条例を定め、規制型と緩和型の特別用途地区を指定しています。規制型では、床面積の一定割合をそれぞれの用途地域に合った商業施設や事務所、文教施設などの併設を義務付けており、逆に緩和型としては、周辺の環境に配慮しながら市街地と共存できる工場や事務所等の設置が可能となるようにしています。
また茅ヶ崎市では、まちづくりにおける手続きを定めた条例があり、建築確認や開発許可などに対して、事前の情報公開や協議を義務付けています。狛江市や国分寺市では、まちづくり条例の中で、開発等の協議を義務付け、より行政が積極的に調整を行なえるように工夫しています。
つまり多くの市町村で、こうした建築紛争を未然に予防し、行政がまちづくりをリードしていこうという取組みを行なっているのであります。
そこで、板橋区でも、高度地区の設定や、まちの将来の発展するべき方向性を定めた、「まちづくり基本条例」のようなガイドラインを作成する時代が来ていると思いますが、先進的に取り組んでいる他市の事例などを踏まえてどのようにお考えでしょうか。
また、紛争予防条例の中身を抜本的に見直し、建築紛争が起こらないために、一定規模以上の建設・開発行為については事前に事業者と住民が協議したり協定を結んだりすることを義務付け、区が積極的に調整を行なえるような仕組みづくりを進めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
同じく、ワンルームマンションの建設について、紛争が絶えません。これについては都市部の多くの区ですでにワンルームマンションの規制に関する条例を制定し、管理や地域との共生について事業者側に厳しく制限を加えています。他区で建てづらいとなると、今後は板橋区にワンルームマンションが次々と林立する可能性があります。一刻も早く、ワンルームマンションに規制を付す条例を定め、板橋区の良好な住環境を守っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
以上で質問をおわります。